【コラム:Bespoke、MTOの特徴】第1回 ハンドラスティング

T.Shirakashi Bootmakerの製品(BespokeMTO)は全てハンドメイドに拘って製作されています。では、具体的にどんな特徴があるのでしょうか。

この記事ではマシンメイドの靴と比較しながら説明していきます。

 

【第1回】ハンドラスティング

 

アッパーの革を木型に沿わせ一本ずつ釘で止めていくラスティング(吊り込み)。ハンマーとペンチが合体したような道具「ピンサー」を使い、革の様子を見ながら強すぎず弱過ぎず適度な塩梅で丁寧に吊り込みます。

 

革の様子を確認しながら作業しています

 

この作業、数秒で完了するマシンメイドに対してハンドラスティングは丸一日と時間がかかりますが、これにより可能となる立体感は手作業ならではと言えます。

特にトゥシェイプを比べるとその違いは一目瞭然で、横から見るとマシンメイドの丸みを帯びた形状に対し、ハンドラスティングのそれはスパッと円形をカットしたかのようなシャープな形状となっています。

これがハンドメイドシューズの醸し出す雰囲気に貢献している、特徴の一つです。

 

右がハンドラスティング、左がマシンラスティングの靴
(アッパーとコバの接合部にご注目ください)

 

ハンドラスティングではアッパーにシワや凹凸が出ないよう丁寧に仕上げるためにかなりの量の釘を使います。マシンでは要所に数本打つだけなのに対し、ハンドでは数百本の釘を打ちつけます。

初めて見る方はその多さに驚かれるかも知れません。もちろん全ての釘は1本残らず次の行程 ウェルティングの際に抜きます。

余談ですが、フェラガモ創設者であるサルヴァトーレ・フェラガモ氏は自伝の中で、靴職人としての最初の修行は折れ曲がった釘を再利用するために丁寧に一本ずつ真っ直ぐに戻すことであった と述べています。現代ではあまり見ない光景かも知れませんが、数百本もの釘を元に戻すというのは相当根気が要る作業だったのではないでしょうか。

 

爪先は もう釘を打つスペースが無いほどの緻密さ

 

さらに、コバとアッパーの結合部が歪みなく流れるようなラインを描くように、ラスティングの後にはしっかりとハンマリング(ハンマーで叩いて形を出し、革を引き締める)をエッジ、それから芯材が入っている爪先や踵に施します。

この作業で片足だけでも30分~45分と手間をかけますが、綺麗にラインを出すことだけにとどまらず、靴が完成したときにはハンマリングによって繊維が引き締まった革の芯材がしっかりと足を支える効果があり、履き心地を左右する大切な工程なのです。

 底面エッジや芯材が入っている部分など 丁寧にハンマーで叩いて馴染ませます

 

いかがでしたか?

ハンドによる靴の製造で手間をかける利点について説明してきましたが、ご不明な点やご質問などありましたら遠慮なくお問い合わせください。

次回の記事ではハンドウェルティングについて解説致します。どうぞ楽しみにしていてください。